膝枕といい、飛び込みといい、さっきからマサトの世話やきすぎじゃないか?
今日海に来てから殆ど奏と遊んでないような気がする。
俺の世話もやいてくれ。
「あ。佐野、顔にカレー付いてるぞ?子供か?お前は」
俺の隣に座る拓也がそう言って、机にの隅に置いてある台拭きで俺の顔をゴシゴシと擦る。
「……拓ちゃん、それ、雑巾…」
「ん?ははは、気にすんな」
奏にじゃなく、拓也に世話をやかれてしまった俺。
「俺、おかわりっ!」
マサトはメガ盛りカレーを完食し、皿を持って立ち上がると注文カウンターへと向かい、その後ろ姿を見ながら奏が呟く。
「マサト君、あんなに細いのに、凄い食欲…ね?佐野君」
「は?…ああ、あれ位は普通だろ?」
「普通なの?」
「マサトは今成長期だから、いくら食べても足りない位だろうな、俺もあの頃はそうだった、はは」
「マサト君も佐野君みたいに大きくなるのかな?」
「そうだな……、って、マサトの事、そんなに気になる?」
「え?気になるって言うか…あのね?私一人っ子じゃない?」
「うん」
「兄弟が居ないから、弟が居たらこんな感じかなって、静さんと佐野君見てて兄弟っていいなあって思ってて…マサト君みたいな弟が居たらいいなあって…」
……弟ね。
確かにマサトはつい世話をやきたくなる弟だな。
兄貴の何処が良いのかは謎だけど、そうか、奏は兄弟が欲しかったんだ。
でも今さら親に弟作ってくれ。とは言えないよな?ははは。
でも俺と奏の間になら兄弟沢山作ってやれるな。
休日は数人の子供達を連れて、公園に行ったりドライブに行ったり。
勿論奏似の女の子は外せないな。
奏そっくりな俺と奏の娘に、パパ。なんて呼ばれたりしたら……
と考えただけでも軽く死ねる。

