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佐野君と拓也君は次々とバスケ部の三年生達を打ち負かし、現在3ゲーム目はタケル君とリョータ君との対戦。


凄いな二人とも……
続けて3ゲームなんて。
しかも凄く上手い。


リョータ君達も凄く上手なんだけど、佐野君と拓也君の息の合ったコンビプレーはまるで、本格的なビーチバレーを見ているようで、公式な試合と勘違いしている人達も居るみたい。


コートの周りには沢山の人だかりが出来てしまっていた。


「ちょっと!あれ見てよっ!?」
「何?あのイケメンバレーボーイズはっ!」
「何かの撮影?とかじゃないよね?」
「写真撮ろ♪ズーム、ズーム♪ぎゃっ!マジカッコいい!」


後ろの方からそんな声も。


美樹ちゃんも色々なアングルから写真を撮っていて。


「高く売れそう……フフフ…」


…売るの?
……美樹ちゃん…


「奏さん」


背中から不意に声をかけられ見てみると、高田先生が私の後ろにしゃがみ込んでいて。


「ちょっと、いいかな?」


そう言って佐野君が私の肩から羽織らせた、大きなバスタオル越しに私の肩に手を置いて。


「少しだけ、話せるかな?」

「え?…、あ、はい。何でしょうか?」

「ここじゃなんだから、海の家に行こうか?」


先生はそう言って立ち上がり、先に行ってるから。とその場を離れ、砂だらけになって、うつ伏せでデシカメを構えている美樹ちゃんに私は。


「美樹ちゃん、私飲み物買ってくるね?美樹ちゃんも何か飲む?」


美樹ちゃんはデシカメから顔を離す事なく。


「ありがと。あたしオレンジね」

「うん。わかった、ちょっと行ってくるね?」


先生が行った後を追って海の家へと向かう。


……何の話だろうか?


先生が私個人に話があるとは考えにくい。


多分……
きっと、佐野君の事……


佐野君の……、アメリカ行きの事……