「くらえっ!麒麟落としっっ!」


−−バシッ!


「イエスッ!」



見事にバックアタックを決めた拓也は両手でガッツポーズ。


だからそれはテニスの……
なんてもう言わない…


今度は俺の番。


飛んできたボールをパシッと掴み、高く上に放って、自身も高く跳び。


バシッと乾いた音を鳴らせて掌で弾かれたボールは、ネットギリギリをかすめて。


「ぶへっっ!」


タケの顔面を激しく打ち付け、アウトラインの外へと飛んでいった。


試合終了。


戦場カメラマン全て沈めてやった。


ははは。













カメラマン全員は横一列に並び正座。


その前に拓也は腕組仁王立ち。


俺は一人一人のデシカメ、携帯の、消去するには勿体ない位のベストショットを、ひとつひとつ確認しながら消去していく。


何だ?このエロい写メは?
俺の携帯に添付送信したい位だ。


「お前ら、今から自分が埋まる位の穴掘れ♪俺がその穴に一人づつ、丁寧に生き埋めにしてやるから♪」


ニッコリと、女の子顔負けの可愛い笑顔で微笑む拓也の口から出たとは思えないその台詞に、カメラマン達は凍りつく。


「佐野先輩より怖ぇ……」

「ん?何か言ったか?」

「いえ…、何も…」


全てのデータを消去し俺は。


「拓ちゃん、全部消したから、埋めるのは勘弁してやって?昼飯奢るから」

「………まあ、佐野がそう言うなら…」

「…俺達も、浮かれてました…ホント、すみませんでした…」


リョータが両手を膝につき、うつ向いたままでそう呟き、俺は大きく息を吐く。


「……全くお前等は…、今日一日だけ遊んだら、明日からは真面目に練習しろ。三日間、続けて全力の試合をしなきゃいけないんだ、今年こそは優勝旗、持ち帰って来いよ?」


リョータは顔を上げると。


「先輩っ!」


俺の足にしがみついてきて、勢い余り俺はそのまま転倒。

さらにリョータは俺の腰に抱きつき、腹にグリグリと頬擦り。


「俺達っ!絶対優勝します!」


……わかったから。
離せ…リョータ…