ATフィールド全開で走り去ってしまったマサト。
使徒が暴走して逃げ出してしまったか……
「急にどうしちゃったんだろ?マサト君…」
「男の事情だ…」
「え?何?佐野君」
「いや、何も…」
「あははは♪マサト君可愛い」
笑いながら美樹も着ていたワンピースを一気に脱ぎ捨て、ピンクのビキニで拓也を一瞥すると。
「…鼻血、出してもいいわよ?」
「……今さら…」
呟く拓也の頭をペシリと叩くと、美樹は奏の腕を掴んで。
「行こっ、かなちゃん、拓也は荷物番っ!」
「え?…ちょっ、美樹っ!」
「拓也君ごめんね?佐野君。先に行ってるね?」
言いながら奏は美樹に引っ張られ、二人してバレーコートに走って行ってしまった。
置いてきぼりの俺と拓也。
「…貴重品だけ出して。海の家にコインロッカーがあるから、そこに入れて俺達も行こうか?」
バックの中をゴソゴソと、財布、携帯、デシカメ等を取り出していると。
「あのぉ〜…」
背中から声がして、振り返るとそこには真っ黒に日焼けした、ガッツリギャルメイク、金髪ロングの女の子二人組。
「げ!マジヤバい!」
…お前等の顔がヤバいだろ?
それともその目は殴られたのか?真っ黒だぞ?
「よかったらぁ、ウチらとぉ、遊びませんかぁ?」
やたらと身体をくねらせ、いちいち語尾をのばして喋るギャルに軽く嫌悪感を抱く。
遊びませんかってお前ら、メイク落ちるから海で泳ぐ気無いだろ?
と、言いたい所だけど、無視して立ち上がり海の家に行く。
「俺達、彼女連れだから、ごめんね〜」
謝る必要なんかないのに、拓也は二人組に手を振り俺の後に続く。
「待ってぇ、わかったからぁ、せめて一緒に写メだけ、撮らせて?お願いぃ〜」
一人が俺の腕を掴んできた。
ゴテゴテにデコられたネイルが肌に食い込み嫌悪感がさらに増す。
「触るな」
乱暴に腕を振りほどく。
ギャルは、何よっ!と文句を言ってるみたいだけど、それも無視。
奏以外の女に触りたくないし、触られたくもない。
だから奏も、他のやつに触ったりしないでくれよ…

