取り合えずリョータ達が場所取りしているコート付近にバラソルをブッ刺し、シートを広げて荷物を置く。

海の家近くで人だらけだけど、まあ、何処に行っても人だらけだから、場所があるだけでもありがたい。

一先ずシートに腰を下ろし一息つく。

少し離れたバレーコートを見てみると、先生がユウトと片手でハイタッチしていて、どうやら二人が勝利したみたいだ。

あいつ等が先生に勝てる訳がないだろうけど、それをわかってて手加減なしの先生もかなり大人気ない。

…しかし、ヒグマ落としって…


「奏さんっ!」

「あ、マサト君」

マサトが走り寄ってきて。

「お久しぶりです、奏さん、俺等とビーチバレーやりませんか?」

「え?…いいの?やりたいけど…私、ビーチバレーなんてやった事ないよ?」

「あ、いいね?あたしやりたい、ね?マサト君?だっけ?あたしもいいかな?」

「勿論っす♪大歓迎です。先輩、奏さん達お借りしますね?」


来たばっかなのに借りてくなよ…
と言いたい所だけど、嬉しそうに笑う奏を見ているとそんな事言える筈もなくて。

「佐野、俺等もやろうぜ?」

拓也が着ていたTシャツを脱ぎながらそう言ってきて、俺も同じようにTシャツを脱ぐ。

「うん。準備運動がてらやろうか、奏と美樹ちゃんも着替えてくれば?」

「あ、私も下に着てきてるから」

言うと奏は立ち上がり、ワンピースの裾を掴んで、めくり上げ、そのまま一気にたくし上げて…

「え?…ちょっ、奏っ」

「ん?…何?」


胸元が見えるが見えるか見えないかの所で奏の手が止まる。

目の前には奏の細く綺麗なウエストライン。


「こんな所で脱ぐなよ…」

「え?何で?下に着てるから大丈夫だよ?」

「…そう言う問題じゃなくて…」


どうせ水着になるんだし……
とは思うんだけど、なんか…

なんて考えている内に奏はワンピースをするりとめくってそれを脱いでしまった。

俺が選んだオレンジ色のビキニ。

色白の奏には明るすぎるかと思ったけど、よく似合ってる。


「あっ!マサト君っ!大丈夫?」


奏が慌てたようにそう言って、見てみると真っ赤になったマサトが鼻血を流していた。