可愛い二人組って……
母さんと同じ事言ってやがる…


さすがにここで拓也を女の子にする訳にはいかないだろうな。


拓也にビキニを着せる用意はしてきていない(筈)


「うん。高校の友達、拓也と美樹ちゃん」

「拓也?えっ?男?マジ?」

「マジ」

「へぇ〜…あっち系?」

「いや、多分、こっち系…」

「おい。多分てなんだよ?俺は正真正銘男だぞ…」


俺達の会話が聞こえていたのか、拓也は仏頂面で俺を睨む。


「あ、俺コースケって言います、よろしくっす、荷物貸して下さい、運びますよ」


体育会系部活野郎のコースケは、目上のやつに対しての礼儀はわきまえているようで、拓也と美樹に挨拶すると荷物を受け取り砂浜を、こっちです。とスタスタと歩き出した。


沢山のバラソルやらシートの間をかき分けて、海の家近くの砂浜で、一際賑わっている集団がビーチバレーをやっていた。


この海岸には夏場の間だけこの場所にビーチバレーのコートが設置される。


リョータ達はコートを占領して暑いバトルを繰り広げていた。


軽くギャラリーまで背負ってやがる。


「何?あの子達?凄く上手くない?」
「うん。みんな背高いね?」
「結構粒揃い…ね?後で声かけてみない?」
「いいね?それ」


なんて囁く声も。


あいつ等め…
練習休ませてもらった上に逆ナンだと?


先生が知ったらなんて思うか……


「うおりゃあっ!ヒグマ落としっ!!」


は?


ヒグマ落としってテニスのなんとかの王子様の技じゃなかったっけ?


………って。


高田先生……


何でそこでビーチバレーやってんの?


「おじさんが混ざってるね?」
「保護者?」
「でも、物凄く背が高いね…」
「………タイプかも…」


先生まで一緒になって遊んでやがる……


そんなで全国制覇なんて出来るのかよ……


なんて、心配になってくる。


でも。


またには息抜きも必要か?


何せ夢の中でまで練習してる位だし。


「あはは、みんな楽しそう、先生まで、ね?佐野君」


そう言って笑う奏も凄く楽しそうだ。