「「ただいまぁ〜♪」
朝食を食べていると、拓也君と美樹ちゃんがリビングの窓を開け、そこから帰ってきた。
「お帰りなさい、暑かったでしょ?」
「はい、暑くて、焦げそうでした」
言いながら拓也君はソファーに座ると、Tシャツをパタパタと扇ぐ。
その隣に美樹ちゃんも。
「かなちゃん、おはよ、ぐすっり眠れた?」
「うん。寝坊しちゃった、何処に行ってきたの?」
「ん?ぶらぶら散歩してただけ、見知らぬ土地って探検したくなるんだよね、あ。途中コンビニでまた花火買ってきたんだ〜♪今夜やろうね?」
「わあ。うん、やろう」
美樹ちゃんはコンビニの袋を持ち上げてニッコリ。
お母さんは冷たい麦茶をソファーに座る二人に入れてくれて、拓也君と美樹ちゃんは、ゴクゴクとそれを美味しそうに飲み干す。
私は朝食を食べ終わり、洗い物を片付けてから、海に出掛ける準備をする。
美樹ちゃんと相談して水着を下に着ていく事にした。
お父さんは早朝からゴルフに行っていて、静さんは今日も休みを取っていたらしんだけど、急な呼び出しで渋々仕事に出掛けたらしい。
せっかく一緒に海に行けると思ってたのに、ちょっと残念だったな。
でも拓也君と佐野君はホッとしたみたいで、特に拓也君は海に行ってまで女装しなくてよかったと胸を撫で下ろしていた。
確かに海水浴で女装はちょっと無理があるかも……
お母さんにも一緒に行こうって誘ったんだけど。
「この歳で紫外線を浴びるなんてっ!自殺行為っ」
………らしい。
「女の子達はしっかり日焼け止め塗っときなさいよ?後から来るわよ……」
何が来るんだろう?
お母さんと一緒に行けないのは残念だけど、拓也君と美樹ちゃんと一緒に遊ぶのは遊園地以来。
それに海水浴なんて何年振りだろ?
楽しくなりそう。
ううん。
精一杯、楽しもう。

