それから母さんも近所に回覧板を回してくると言って今だ戻らず、リビングで麦茶を飲みながら繕いでいると、30分程して兄貴が帰ってきた。


「女の子達は一人づつ俺の部屋に浴衣持って来てね?先ずは拓美ちゃんから」


言うと兄貴は二階の自室へと上がって行った。


「美樹〜…俺何されるんだろ?」


拓也が美樹に不安げにそう訊ねると。


「さあ?無理矢理佐野君の義姉にされたりして?」


……おいおい…


「え?……何それ?」

「ほら、何事も経験よ?拓也?行ってらっしゃい♪」


美樹は拓也を立ち上がらせ、その背中を押した。


「美樹〜…」

「ふふふ…バレないようにね?拓美ちゃん♪」


渋々二階へと上がる拓也を手を振って見送る美樹。


「美樹ちゃん、ホントに手籠めにされても知らないよ?兄貴、どっちもイケるから…」

「えぇっ?!それホント?佐野君?」


驚く奏に美樹は。


「マジ?写真撮らなくちゃ!デジカメデジカメ…」


バッグの中をゴソゴソとデジカメを取り出した。


「………ごめん、嘘だから」

「へ?…何だ…嘘か…つまんないの…」


ガックリと肩を落とす美樹。


「…つまんないって…美樹ちゃん…拓ちゃんが兄貴からホントに手籠めにされてもいいの?」

「よくないわよ、寸での所で止めさすわよ」

「じゃ、何で写真撮るの?」

「高く売れそうだから♪」


…売るって…美樹ちゃん。


「静さん佐野君とそっくりだから、佐野君と拓也の絡みって事にして、一部のその手の娘達に高値で売り付けようかと……」


……それだけは止めてくれ。
しかも俺との絡みって……


そう言えば以前にファミレスで拓也とのツーショット写メられたりした事があったな……


男同士の絡みの何が面白い?
女の子はわからん……


女の子同士の絡みはちょっと興味あるけど……


はっ。


何考えてる俺。


俺は兄貴と違って変態では無い(多分)