シロはヨースケのばあちゃんが預かってくれるらしく、美樹のマンションに向かう前に一旦公園近くにあると言うばあちゃんの家へと車で向かう。


シロを抱えて奏と二人玄関に立ち、チャイムを押すと、パタパタとスリッパを鳴らす足音がして、引き戸が開かれた。


「まあ、奏ちゃん、いらっしゃい」


年配の落ち着いた感じの上品なばあちゃんだ。


何処と無く目元がヨースケに似てるな。


「おばあちゃん、こんにちは、お言葉に甘えて、シロ連れて来ちゃいました」

「いいのよ奏ちゃん、うちのハルも喜ぶわ、あの、そちらの方は?」


ばあちゃんは奏から視線を俺に移した。


「ども、佐野茜です。シロの飼い主俺なんです、シロの事よろしくお願いします」


ばあちゃんにシロを渡して奏と二人で頭を下げる。


「まあ、貴方が佐野君ね、奏ちゃんから話しは聞いてるわ、うちの孫みたいに背が高いのね…もしかして何か、スポーツやってらっしゃるのかしら?」


「……以前、バスケを、やってました」

「バスケット?洋介と同じだわ」


俺は貴司の事、ヨースケの事をばあちゃんに簡単に説明した。

今日ヨースケの試合を見に行った事も。


「貴司の同級生だったの?世の中狭いわね?」

「……全く」

「ふふふ、でも、嬉しいわ、洋介のお友達とお知り合いになれて、あの子の足の事も知ってるんでしょ?」

「知ってます…」

「……あの子、いつもバスケットで無理してばかりだから…よかったらたまに息抜きさせてやってね?」

「ばあちゃん…洋ちゃんに息抜きなんか必要無いよ、バスケやってる洋ちゃん見た事あるだろ?」

「……貴方、いい人ね…奏ちゃんの言う通りだわ…これからも洋介と仲良くしてやってね?奏ちゃんともね?」

「勿論…」

「じゃ、シロちゃんはうちでしっかりとお預かりします、旅行楽しんで来てね?行ってらっしゃい」

「うん。ありがと、ばあちゃん」

「おばあちゃん、ありがとう、行って来ます」


シロを抱いて俺達を見送るばあちゃんに俺達も手を振った。