ヨースケの白のステーションワゴンの後に付いて、小学校近くのファーストフード店に入る。


カウンターで注文をしてトレイを受け取り空いているテーブルに着く、俺の前にヨースケ、隣に奏が腰を下ろした。


かなり腹が減っていた俺はハンバーガーにかぶり付く。


「ふふ、佐野君も沢山食べるけど、洋介さんも凄いですね」


奏がヨースケのトレイを指さし笑うとヨースケが。


「試合後だからね、もう腹減って腹減って」


二個目に手を出していた。


俺は既に三個目だけどね?


「あ。佐野君、ソース付いてるよ?」

「え?マジ?何処?」

「ここ」


言うと奏は紙ナフキンで俺の頬を拭いてくれて、それを見ていたヨースケが。


「……羨ましいやつ」


そう呟いた。


「あ、ヨースケさんもソース付いてますよ?」


奏は立ち上がりテーブル越しにヨースケの口元を紙ナフキンで拭ってしまった。


「………あ…ありがと…」


口元を抑え、明らかに動揺しているヨースケ。


「ふふ、いいえ、アルバイトでよくやってますから」


何事も無かったかのように奏はカップのサラダを食べ始めた。


……ちょっと待て。


「奏、バイトでいつもやってるって?」

「ん?何が?」

「その…口、とか…拭いてやってる?」

「うん。お客さんがクリームとかで口元が汚れてたりしたら拭いてやるようにって、カケルさんが、始めは恥ずかしくて抵抗あったけど、もう慣れた、男の人ってホントに気にせず食べるから口の回りベトベトにするんだよね」

「カケルさんにそうするように言われたの?」

「うん。そうだよ?」


メイドな奏に口を拭いてもらおう、とわざと口元に何度もクリームを擦り付ける野郎共が安易に想像出来る…


カケルめ……
何処まで腹黒いんだ……

そんなオプションサービスする必要無いだろ?……

無邪気で純粋な奏になんて事やらせてるんだ。

今度文句言って絶対止めさせてやる……


「奏ちゃんがバイトしてる所ってケーキ屋だよね?何処の店?」


またひとり……


クリームまみれのになる予定の男が増えてしまった。