文化祭の話し合いも終わり、明日からの夏休みの予定なんかをそれぞれに雑談したりして、教室にはまだ生徒が沢山残ってて、奏も美樹が迎えに来るまで残ってたけど。


「あ。美樹ちゃん来た、じゃあね、佐野君」


「うん。バイバイ」


奏は鞄を持って美樹と二人、バイトに行ってしまった。


さて。


俺も帰るか。


バイトは夕方からだし、それまでシロと昼寝でもするか?


でも、シロ、最近昼間時々出掛けてるんだよな?


彼女でも出来たか?


「茜〜。お前これから暇か?」


王子になり損ねた貴司が俺の席に寄ってきて。


「…帰って昼寝するから忙しい」

「は?明日からせっかくの夏休みなのに昼寝?」


何で明日から夏休みで昼寝しちゃ悪いみたいに言われなきゃいけないんだ?


「……悪いかよ?」

「悪いに決まってる!DKたるものもっと青春を謳歌せねば!…て事で、ちょっと俺に付き合わない?」

「えぇ〜〜?…」

「…何だよ、その物っ凄い嫌そうな顔は?」

「……どうせ合コンとかだろ?悪いけど、そう言う類いの物に全く興味ないから…」

「ふふふ…違うよ、茜が興味がありそうな所だよ…」

「は?…何だよそれ?」

「いいからついて来い!」


貴司に無理矢理立たされて、半分引きずられながら教室を出る。


「あっ、宮地っ!あんた今日日直でしょ?日誌出して行きなさいよ!」


廊下に出ると沢田の声が教室から聞こえてきて。
貴司は俺を引っ立てながら。


「わり、俺、用事あんの!沢田が出しといて!」

「ちょっとあたしが日誌書いたんだから、あんたが持っていきなさいよ!」

「お願い!沢田!もう時間が無いんだ!今度オゴるから!」

「もうっ!宮地っ!」

「ごめ〜ん!」


謝りながら廊下を走る走る貴司に引っ張られ、靴に履き替えると、貴司は早く早くと俺を急かす。


「一体何処に行くんだよ…」

「ん?区立体育館」

「区立体育館?何で?」

「来ればわかるよ、早く行くぞ?」


何で区立体育館に行くんだ?


俺は訳がわからず、取り合えず貴司の後に着いて区立体育館へと向かった。