「はいは―い!静かに!決まりそうに無いから、投票で決めたいと思います。今から紙配るから、やりたい出し物書いてこの箱に入れて下さい」
竹田はこうなる事を予想していたのか、箱の中に既に投票用のメモ紙を用意していて、それを前の席に配っていき、後ろへとまわされる。
「書いたら後ろの席から回収して来て」
紙が行き渡り、皆それぞれに他のやつ等と話したりしながら何を書こうかと再びざわめき出す。
「…奏?なんて書く?」
隣の奏に聞いてみると。
「う〜ん…どうしよう…佐野君は?」
「…夏休み学校に出てくんの嫌だから、なるべく簡単な物で…」
「私も、アルバイトがあるし…その方がいいかも…」
「無難に食べ物屋で…」
「だね?材料寄せるだけだし…当日は大変だけど…」
「何にする?」
「普通にたこ焼?とか?」
「それじゃベタ過ぎる…」
「…唐揚げ?とか?」
……唐揚げだと?
俺はガタッと机を揺らして立ち上がり、教室中の視線を浴びる
「うちのクラスは唐揚げ屋に決定、文句は言わせない、誰のお陰で無料チケットが貰えると思ってる?」
球技大会優勝の副賞として、文化祭で使える千円分のチケットをクラス全員に贈られる。
「……唐揚げかぁ…」
「旨そう…」
「唐揚げ喫茶とかは?」
「あ。それいいね?飲み物も出してさ」
「コンビニみたいに棒に刺してもよくない?」
「それなら歩きでも食べれるよね?手も汚れないし」
「売れそうだな?」
またざわめき出した教室に竹田が。
「唐揚げ屋かぁ…それ、決定でいい?」
決定に決まってる。
「「「「「「いいで〜す」
よし。いい返事だ。
「意義ありっ!」
貴司がビシッと音が出そうな位の勢いで手を上げて。
「…何だよ…貴司…」
クラスの輪を乱すなよ…
「劇やろうよ〜…俺が王子で…姫が奥…」
「では、うちのクラスは唐揚げ屋に決定します」
竹田の言葉に皆拍手。

