あまりの写真写りの悪さに軽く落ち込んでいると。


「その雑誌、いるなら持って帰っていいから」

「貰ってもいいの?」

「うん。ほら」


佐野君はテーブルの上に置いてあった白い紙を捲って私に見せた。


「あっ」

「コンビニで拡大してカラコピした」


佐野君…
そんな顔の私…引き延ばしたりしないで…


「……佐野君、私の顔変じゃない?…そんなに大きくされたら恥ずかしいよ…」

「何言ってる?全然変じゃない」

「…そうかなぁ?」


やっぱり佐野君は目が悪いんだ。


「佐野君、視力どれ位?」

「は?何いきなり…両目2.0だけど?」


……身長もだけど、視力も人並み以上だね…


「あ。それと、もうひとつ…」


言うと佐野君はパソコンの電源を入れて、カタカタと何やら打ち込んでいく。


「ほらこれ…」


画面を見てみると佐野君が通っていた中学校のホームページみたい。


佐野君は部活動、バスケットボール部、大会結果とクリックしていき、画面に表れたのは、トロフィーと賞状を手に持って、満面の笑みでピースサインをしているリョータ君達。


「…これって」

「うん。県大会優勝」

「……凄い…これ、いつ?」

「先月末位?」

「何で早く教えてくれなかったの?」

「ん?…最近奏バイトで忙しそうだったし、スレ違いだったから」



そう言えばアルバイトを始めてから、このアパートにはシロに会いに毎日のようにやって来るけど、佐野君とこうして二人きりになるのは久しぶりかも…


「次は…こいつ等も全国大会かぁ…」


佐野君はパソコンの画面を見ながら頬杖をついて呟いた。


「…応援、行くんでしょ?」

「…奏も行く?」

「うん。行く、あ、でもいつあるの?」


その日はアルバイト休みを貰わないと。


「わかんね、リョータに聞いとく」

「早めに教えてね?」

「うん。わかった、あっ、やべ、もう直ぐ2時じゃん、奏、早く帰らないと」

「わ、ホントだ、帰らなくちゃ」

「バイクはもう夜中だから…歩きでいい?送ってく」

「うん」