「おっ?集団で、いらっしゃい♪」


カケルさんが響屋の引き戸を開けると、恭介さんの明るい声がして、店内に入ると真っ先に目に留まるのはやっぱり佐野君。


「…奏」


佐野君もそれは同じみたいで、沢山の人達が居るなか、絡まる視線に少しだけ気恥ずかしさを感じる。


佐野君の前のカウンター席に座ろうと視線を移したら、そこにはアスカさんが座っていて。


「きゃあぁ〜♪アスカさんっ」


美樹ちゃんがアスカさんの大きな胸に飛び込んで、ギュッと抱きついてしまった。


「美樹ちゃん、奏ちゃん、お疲れ様。今日は大変だったでしょ?」

美樹ちゃんとアスカさんを挟んでカウンターに腰を下ろした。


「はい。でも凄く楽しかったです♪」


美樹ちゃんはアスカさんに引っ付いたままで、そう答えていると、恭介さんがやって来て。


「美樹ちゃん…その胸は俺のだから、まだ俺だって触ってないのに…いくら女の子でも、今後それに触れる事は禁止します」


アスカさんの胸に顔をくっ付けていた美樹ちゃんを恭介さんは引き剥がした。


「えっ?何それホント?」

「ホントもホント、ね?アスカちゃん♪」

「ホント…じゃ、なくもないっ」


えっ?
なくもないって…
アスカさん、それって…


「キョンちゃんの願いがお星様に届いたんだよ、ね?キョンちゃん?」


佐野君が私達におしぼりを渡しながらそう言って、恭介さんはアスカさんを後ろから抱きしめて。


「うん!短冊100枚は書いたよ、あはは♪」

「……キョンちゃん、ホントに書いてたんだね…」

「当たり前だ!願掛けは日頃から怠った事はない!仮にも弁護士になろうかってやつが、神頼みしなくて、弁護士になんかになれるかっての!」

「そんな事ばっかやってないで、試験勉強しなさいよっ!あんたはっ」

恭介さんの腕の中でもがくアスカさん。


なんか話が急展開すぎて、着いていけない…


えっと、恭介さんの願いが叶ってアスカさんと結ばれ?たと…


それに弁護士って、恭介さん…弁護士になるの?


それって……凄い。


恭介さんって、ホントは誠実で真面目できちんとした人だったんだ。