「…奏?」
「………」
「奏ちゃ〜ん?」
「………」
「お〜い、かなちゃ〜ん」
「………」
キッチンで食器洗いを終わらせて、奏に話し掛けるが全てスルー。
俺に背を向けたままテレビの前からピクリとも動かない奏。
どうやら完全に拗ねてしまったらしい。
そんなに気にしてたのか?
痩せてる事…
でもそこまで病的に痩せてる訳でもないし、出てる所は出てる。
手足は細いけど、それだって骨が浮いてるって訳じゃないし…
そんなに怒らせたか?
奏の後ろに腰掛けて、背中から奏を抱きしめる。
「…奏?…怒ってる?」
「…そんなに抱きつくと、あばら骨が刺さるよ…」
「………」
冷たい奏の言葉に、若干興奮してしまいそうになる自分が居て、奏になら刺されてもいいとか思ってしまって、慌ててそれを取り消した。
「ごめんって…」
奏の首筋に顔を埋める。
「…さ、佐野君は…ぽっちゃりな…女の子が…好みなの?」
「へ?」
いきなり何を言い出す?
「私…みたいに…痩せてる子は…苦手…なの?」
「…何言ってんの?」
「わ、私だって、少し位…ぽっちゃりに…なりたいんだけど、でも、全然太れなくて…」
「……うん」
「…わ、私と…しても…気持ちよくない?」
「は?…何を?」
「私を…だ、抱いても…気持ち…よくない?」
……そんな事。
…あるわけ無いだろ?
抱きしめる腕にさらに力が入る。
「…そんな事気にしてたの?」
「……うん」
「はは、バカだなぁ…」
「……うん」
「…ホントは、一回じゃ足りない位なんだ…気持ちよすぎて…続けて何度でも、抱きたいよ…」
言いながら奏の首筋に唇を這わせ、前からシャツの中に手を忍ばせる。
胸の膨らみに触れてそれを包み込み、優しく撫でると奏はピクリと身体を反らた。
「……奏…いい?」
耳元で囁くと。
奏はコクリと頷いた。
そのまま奏を横たえると。
−−ピポピポピンポ〜ン♪
「茜〜?シロ連れて来てやったぞ〜?」

