−−グウゥゥ…
奏を抱きしめ、その余韻に浸っていると、ムードをぶち壊した俺の腹の虫。
「ぷ…佐野君…お腹が…ふふふ」
俺の腕の中で肩を震わせて笑う奏。
「ご飯、食べよ?」
「ははは…うん」
散乱した服を拾い集めて着替えを済ませ、奏がテーブルに用意してくれた飯を挟んで、二人向かい合わせて座る。
「…もう冷めちゃってるね…」
「うん。ごめん…でも旨そう、よくあれだけしかない食材でこれだけ作れたよな?」
テーブルの上にはツナ缶を使ったパスタと、フレンチトースト、玉ねぎとツナのサラダ、コンソメスープが並べられていた。
「あれだけあれば出きるよ、スープだけ温め直すね?」
「あ。俺がやる、奏は座ってて」
立ち上がろうとした途端、膝に痛みが走ってガクッと腕を床についてしまった。
「痛っ!」
「佐野君っ?どうしたの?」
「いや、何でも…ちょっと膝が…」
「…あ…雨が降ってるから…大丈夫?」
俺の隣に来て膝を擦る奏。
「大丈夫だよ…」
「…佐野君は座ってて…私がやるから」
言うと奏はスープの入ったカップを持って、それをレンジの中へ。
温め直すとそれを再びテーブルに置き。
「食べようか?」
「うん。いただきます」
手を合わせ、二人で向かい合わせて食べる奏の手料理は、冷めていも温かく感じられて、どれも抜群に旨かった。
「奏って、ホント料理上手いよな?料理人にもなれるんじゃね?」
「そんな事無いよ、別に普通だよ?」
「いや、このパスタ…プロ級…」
「あはは、ありがと、これも食べる?」
奏は自分の皿を俺に差し出す。
「え?いいの?」
「うん。私こんなに沢山食べれないよ、夕方シュークリーム食べちゃったし…」
「…奏、もう少し食べて、少し位太った方がいいぞ?」
「言わないで…気にしてるのに…」
「いやホントに…あんまり激しくエッチすると壊れそうで…」
途端に奏は真っ赤になり。
「!っ、佐野君のエッチ!」
そっぽを向いてしまった。
ホントの事言っただけなのに…

