「佐野君、起きて、ご飯出来たよ」
「……ほぇ?…」
「ご飯、出来たよ?」
ぼんやりとする頭で一瞬何がおきたのかわからず、ただ俺を優しく見下ろす奏の事が可愛くて、無意識にそれに手を伸ばす。
「!っ、さっ、佐野君っ」
それが俺の胸に倒れ込んできて、両腕を回し抱きしめる。
「…あの、佐野君?ご飯食べないの?」
……食べたい…これ…
「…食べる…いただきます…」
身体をごろりと回転させてご馳走に口を付けようとしたら。
「!…佐野君っ、寝ぼけてるっ?」
ガシッと頭を掴まれてしまった。
……………ん?
「…あれ?」
「…佐野君…寝ぼけが酷いね?」
…寝ぼけ?
「ご飯、出来てるよ?」
……飯?
その思考に俺の腹の虫が反応して、けたたましく鳴り出した。
「ふふふ。お腹が空いたって鳴いてるよ?」
「…ははは…ホントだ…」
「食べる?」
「うん。食う…」
「起きようか?退いて?佐野君」
「…いや、こっちから先に食べる…」
「へ?…さのくっ…んっ…」
奏の唇にかぶり付いてしまった。
俺の下で俺を見上げて、食べる?なんて奏が聞いてくるもんだから、昨日の朝は恭介に邪魔されて、お預けを食らってしまっていた俺は、もう限界だった。
「さのくっ…ご飯…冷め…ちゃう…」
唇の隙間から奏がそう訴えてきて。
「…も、限界…奏が…欲しい…」
同じように俺も隙間から訴えると、奏の身体から力が抜けて、それが了解の合図だと思い、さらに激しく奏の唇に口付ける。
次第に奏の息が荒くなっていき、俺をさらに熱くさせていく。
「は…さのく…おねが…い…ん…明かり…消して?」
「……いいよ…消さなくて…」
「……お願い…」
潤んだ瞳で見つめられて、クラリと目眩がしそうになる。
ベッド脇に置いてあるリモコンで照明を落とすと、Tシャツを脱ぎ捨て、奏の身体に自分の身体を重ねた。

