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「……痛っ…」


シャワーで入浴を済ませて、着替えていると、膝に軽く痛みが走る。


実は夕方位から調子が悪くて、雨が降り出す前に帰って来たかったんだけど、間に合わなかった。


奏を濡れさせてしまった。
しかも雷まで…
早く奏を風呂に入れないと。


一緒に入ろうと言ったら拒否られて、少し落ち込んだ…


一緒に風呂に入るよりもっと凄い事してるのに…そんなに恥ずかしいのか?


ま、そんな所もたまらなく可愛いんだけどね?
ははは。


頭にタオルを乗せてバスルームから出ると、奏は携帯を握ったままぼんやりと座っていて。


「奏?…シャワー空いたよ?」

「え?…あ、うん」


奏の隣にペタリと座り頭をゴシゴシとタオルで拭きながら。


「…電話?」

「うん。お父さんに、雨弱くなってから帰るって電話したの、お父さんもまだ会社に居るって…」

「日曜なのに大変だな…」

「……うん」

「あ。奏も風呂、早く入れ、今お湯張ってるから」

「え?いいよ、シャワーだけで…」

「ダメ、ちゃんと暖まれ、風邪引く」


奏を急かせて風呂に入らせ、腹が減っている事に気付き、冷蔵庫を開けて見てみるけど直ぐに食えそうな物が何もない。


…仕方ない…買いに行くか。


バスルームのドアをノックして奏に声をかける。


「奏?腹減ったから、コンビニで何か買ってくる、なんか食いたい物ある?」

「え?外雨酷いよ?」

「うん。でも腹減った…」

「お風呂上がったら私何か作るから、それまで待ってて?」

「でも、冷蔵庫何も入ってないぞ?」

「入ってるよ、確か…食パン、玉子、牛乳とツナ缶とか…パスタもあったはず…大丈夫何か作れるから」


…マジすか?

うちの冷蔵庫の中身を俺より把握してるなんて…

……いい嫁だ。


「うん。じゃ、待ってる」

「うん。待ってて、急いで上がるから」

「いや、ゆっくりでいいぞ?」

「あはは。うん。わかった」


ドア越しの夫婦の会話済ませて、ベッドにごろりと横になる。


外は雨だけど、心の中は晴れていた。