今まで話しかけてくる事何てなかったのに、何で急に話しかけてきたんだろう。
しかも鼻で笑われたし。
なんか……感じ悪い。
佑樹からあの子を誘ったのかな?
それとも逆?
そんな事誰にも聞く訳にはいかないし、考えるだけ無駄だな。
佐野君。
日曜バイトだって嘘ついたね?
彼女には悪いけど、少し嬉しかった。
学校以外で佐野君に会える。
学校では今日みたいにほんの少し話すだけ。
その時間が私にはとても楽しいひとときになってた。
佐野君ともっと話したい。
佐野君の事もっと知りたい。
そう思うようになってた。
佐野君は私の事、ただの浮気相手と思ってるかも知れないけど、私は佐野君ともっと仲良くなりたいって思ってる。
変だよね?
最初は浮気目的で佐野君の事見てたのに。
今はちょっとそれ後悔してる。
普通に話して、普通に仲良くなりたかったな。
でも普通に過ごしてたら、佐野君とは話しもしてないだろうな。
ふふふ。
授業中そんな事を考えていると、不意に横から紙くずが机の上に飛んできた。
佐野君?
開いて見てみる。
『なに1人でニヤケてんの?』
以外に綺麗な字。
ちょっとびっくり。
えっ?ニヤケてた?
やだ。
右側の佐野君の顔をチラリと見ると、佐野君もニヤリと笑ってた。
私はその紙の裏に返事を書き、辺りを見回し佐野君の机に投げた。
佐野君はそれを開いて見る。
『ちょっと、思いだし笑い』
また紙が飛んできた。
『エッチな事?w』
『ちがうもん!佐野君のエッチ!』
『男はみんなエッチだよ?』
『佐野君だけでしょ?』
『ひでーww』
何度か紙くずが私達の間を飛び交った。
佐野君はただの暇潰しでこんなやり取りしてるだけかも知れないけれど、私にはそれが新鮮で、今までこんな事した事なかったから、とても楽しい。
私って、今まで知らなかった事が多すぎるな。
なんてつまんない人間なんだろう。
だから浮気されるのかな?
だから笑われるのかな?

