「…カケルさん、ケーキショップってホントですか?あの…ホストクラブの方は…」
カケルさんは私の隣に椅子に腰掛け、
「ああ、あっちは副業として続けるよ、てか、辞めさせてもらえない、あはは」
と陽気に笑うカケルさん。
「まあ、ホストで稼いだ金でこうやって店出せたんだから、それなりに恩返しはしないとね?」
そう言って綺麗にウインクして見せる。
「お店出す為にホストやってたんですか?」
「うん。そうだよ、俺ね?ケーキとか作れないんだけど、スゲースイーツ好きなんだよね?でも、どこの店に行っても男一人ではそんな所に入れないだろ?」
「…そうなんですか?」
「奏ちゃん?ラーメン屋に一人で入れる?アダルトのDVDコーナーに入れる?」
…それは…
「…無理かもです…」
「あはは。そうだろ?それと同じで、男はそう言った店には女性同伴でも中々入りづらいんだよ」
……なるほど。
「だからそんなスイーツ男子の為にも、男でも気軽に入れる店を出したかったんだよ、勿論女性もだけどね」
…カケルさん、凄いな。
自分で自分の夢叶えて。
「でも、そんな大事なお店、私なんかが働いても大丈夫なんですか?私アルバイト初めてだし、あ。働くのが嫌って訳では無くて、実際今アルバイト探してて、凄く嬉しいんですけど…」
「何言ってんの奏ちゃん、奏ちゃんなら顔パスだから、茜が怖くてスカウト出来ずにいたんだから、大歓迎だよ♪奏ちゃん♪あ。美樹ちゃんにも声かけてくれないかな?二人が来てくれれば大繁盛間違いなしなんだけどなぁ」
…美樹ちゃんと?アルバイト?
それって凄く…楽しそう…
「はい。美樹ちゃんにも私から言ってみます」
「ホントに?ありがと、奏ちゃん」
…私の方こそありがとう、カケルさん。
色々聞かないでいてくれて。
さらにアルバイトまで。
ここに来るの凄く嫌だったけど、こうやってカケルさんと話してると、憂鬱な気分も和らいでくる。
「あぁっ!カケル!見つけた!どこ行ってたのよ!全くっ。フラフラして!」
鮮やかなオレンジのドレスを来た女性がこちらにツカツカと歩いてきた。
「あっ。奏ちゃん?」
「アスカさん…」
「いや〜ん♪偶然〜♪」

