教室に戻ると佐野君も戻って来ていて、また机の上に突っ伏していた。
私の席には宮地君が座っていて、
「あ♪奥村さん♪お帰り。椅子暖めといた」
立ち上がり佐野君の前の席に移動した。
「……はは、ありがと」
思わず苦笑い。
球技大会後は宮地君と沢田さんとはよく話すようになって、美樹ちやんと拓也君位しか友達が居なかった私は教室の中でも楽しく過ごせていた。
密かに沢田さんの恋も応援したいと思っていたりする私。
「貴司…余計な事すんなよ…ただでさえ蒸し暑いのに…」
と佐野君は宮地君にデコピン。
「痛っ…いってぇ〜…痛いだろ!茜!何?その破壊力?」
額を押さえて涙目の宮地君。
そうだよね、確かに蒸し暑い…
もう6月だし。
もうすぐ梅雨入りしちゃう……
雷……嫌だなぁ…
佐野君も雨降ると膝が痛むんだよね?…
「ね?奥村さん、今日さ、カラオケ行かない?」
「え?カラオケ?」
こんな誘いをクラスメートから受けた事が無かった私はキョトンとしてしまった。
「うん。沢田とか他のやつらも誘ってさ?」
……楽しそう、でも…
「ごめんなさい、宮地君、今日は…用事があるの…」
「そっか…残念」
「うん。ごめんね?また誘ってね?」
「え?…うんっ!また誘う!」
笑う宮地君。
ホントに明るい人だなぁ。
「…奏…用事って?」
佐野君が聞いてきた。
「…うん。父の…会社関係のパーティーに行くことになってるの、新しく出来た駅前ビルなんだけど…家族同伴だから…行かないと…」
例の駅前ビルの完成披露パーティー…
…気が重い…
行きたくない…
「でも、その前にちゃんとお世話はしていくから…」
シロに合いたい。
毎日シロと遊ぶのが日課になってる。
「お世話って何?奥村さん」
あっ。
宮地君居たのに私ったら…
「ううん。何でも無いよ、あはは」
笑って誤魔化しちゃえ…

