佐野君が出ていって、5分位たってから私も視聴覚室を出た。


教室に戻ると、私の席に佐野君の彼女が座っていて、佐野君と話をしていた。


確か、美里って名前だったよね?


私が席に近付くと、彼女は顔を上げてニッコリ。


「あ。ごめんね?」

「…ううん、いいよ」


可愛い笑顔。


同じ女の子なのに私とは大違い。


制服もスカートを短くして、ブレザーの中にピンクのパーカーを着てる。


明るめに染めている髪は肩より少し長めでユルい巻き毛。


ちょっと派手な感じだけど。


黒髪でストレートな私の髪は重苦しい感じ。


しかも素っぴんだし。


佐野君はこんな感じの子がタイプなのかな?


そう言えばよく違う女の子と居るところ見かけてたけど、みんなこんな派手な感じ。


まあ佐野君自体も派手なんだけど。


派手で軽くて。


最初はそんな佐野君を苦手に感じてだけど、今は全然気にならくなった。


慣れてしまえば、佐野君によく似合ってると思う。


金髪で背が高いから、離れて居ても直ぐに佐野君だとわかる。


遠くからでも、直ぐに見つけられる。




佐野君の彼女は私の席から立ち上がると、今度は佐野君の前の席に腰掛けた。


私は自分の席に座り、鞄の中から読みかけの推理小説を取り出し、栞から開く。


チラリと横目に彼女を見る。


佑樹としたんだよね?
勿論……佐野君とも…


心臓にチクリと針が刺さった。


この痛みは罪悪感から?
それとも劣等感から?


男の子はみんなあんなふわふわした、柔らかそうな女の子が好きなのかな?


私はどちらかと言うと痩せ気味。


も少し太りたいんだけとね。


そんな事を考えてチラチラと彼女を見ていると、彼女と目が合ってしまった。


ドキリとした。


慌てて目を反らす私。


気のせいかも知れないけど、彼女は一瞬だけ鼻で笑ったような気がした。


何で?

私なんか変だった?

あなたに笑われるような事した?

なんか、感じ悪いな。



佐野君が居るのに…


浮気……しているくせに。