早速着けるか。


そのままの体制で右耳のピアス三個を外し、


「奏が着けて?」


と身体を反転させて奏の方を向く。


「え?私が着けるの?」

「うん」

「…わかった」


袋からピアスを取り出し、俺の耳を摘まむ奏。


瞬間。


腰の辺りがゾクリとしてしまった。


……これは…ヤバいかも…


「何か…緊張する…」


顔を近付けてきた奏の吐息が首筋にかかり、今度は背中がゾクリとしてしまった。


……かなりヤバい…


「あっ、入った、何か痛そう…」


……………う……


「あ〜ん、せっかく入ったのに、また出ちゃった…よし、もう一度……入った、今度は抜けませんように…」

「……奏…まだ?…」


……恐らく……
どんな拷問よりも辛いぞ?これは…
…何の苦行だ?
…いや、俺が望んだ事なんだけどね?

奏の息が首に、耳に……

それにその台詞……


「…まだ…一個しか…入ってない…あっ。佐野君動くからまた抜けちゃったじゃない…今度は動かないでね?入れるよ?」


………ダメだ。限界!


「え?…わあっ!」


俺は飛び起き、奏の肩を掴んで床に押し倒してしまった。


「ど…、どうしたの?佐野君?」


奏はいきなりの出来事に驚いている様子。


「……ごめん、嫌なら嫌ってハッキリ言っていいから、そしたらなにもしない」


奏を見下ろしそう言うと、


「…え?何が?」


キョトンと俺を見上げる奏


「……奏を抱きたい」


すると奏は大きく目を見開いて、次に一気に顔が赤くなった。


「……あの…」


思いきり視線を泳がす奏。


奏の頬に手をあて、その視線を俺の方に向かせる。


「……嫌か?」

「……嫌じゃ…ない…です…」


頭の中でパキンと音がしたような気がしたかと思ったら、無意識に奏の唇に唇を重ねた。


「…んっ、さのくっ…くるひっ…」


その言葉さえも全て飲み込むように、深く口付ける。


唇を離し、奏を抱えて、ゆっくりとベッドに横たえた。