「…静さん」

「奏ちゃ〜ん、久しぶり〜♪会いたかったよ〜!」

両手を広げ私の方に歩いてくる静さん。

ホントに久しぶり。ふふふ。
相変わらず佐野君そっくり。
私は嬉しくて静さんに駆け寄った。

「お久しぶりです。静さん」

「違うっ!奏ちゃん、俺の事はお兄ちゃんって呼んで!」

「はい。お兄ちゃん」

「………可愛い」

「はい?」

「兄貴、何でここに居るってわかったんだ?」

佐野君が私と静さんの間に割って入ってきた。

「ああ、アパートに行ったらまだ帰ってないみたいだったから、学校の周りうろついてた、そんでお前と奏ちゃん見つけたの」

そうだったんだ。

「あの、しず…お兄ちゃん、わざわざ迎えに来てくれてありがとうございました」

「あはは。いいのいいの。仕事も休みだし、可愛い妹の為なら、お兄ちゃん何処へでも迎えに来ちゃうから♪」

「兄貴、いい加減にしろ、奏もバカ静の言う事、いちいち素直に聞かなくていいから」

別に何も言われて無いと思うけどな…佐野君、なんか怒ってる?

「またお前!兄貴に向かってバカって言った!」

「は?いい歳して変なアニメや漫画バッカ見てるバカだろ?」

「何を!アニメは日本が誇る偉大な文化だ!」

「それヲタクって言うんだぜ?」

「ヲタクの何が悪い?お前だって俺のエヴァのDVD持ち出して、全巻見てただろ?」

「綾波は別物だ!」

「そう言うお前も立派なヲタクだ!」

「ふっ、二人とも!喧嘩止めて!」

今度は私が二人の間に割って入る。

今朝も喧嘩してた、何でかわからないけど、私が原因で喧嘩が始まってるみたいに感じるのは、私が知らず知らずの内に何かやらかしてしまってるのかな?

私って間抜けだから、色々な所で人に嫌な思いをさせているのかも知れない。

……ダメだ、泣きそう…

「あっ。奏ちゃん泣かないで〜」

「えっ?泣いてる?奏?」

「ごめ…なさい…私が何か…したから…喧嘩…」

やだ、涙止まんない…

「ええっ?奏のせいじゃないよ?」

「俺達が喧嘩したから泣いてんの?違う違う!ほら見て♪俺達仲良し♪な?茜?」

「お、おう」

道端で抱き合う佐野君と静さん。