「…みんなで何人だっけ?」

「えっとね〜…13人かな?」

区立体育館出て直ぐにあるコンビニまでやって来た私と美樹ちゃん。
冷蔵庫の扉を開け、スポーツドリンクを13本カゴの中に入れていく。
美樹ちゃんと割り勘してみんなに差し入れ。

コンビニを出て体育館のコートに戻るとみんな汗だくになってへたり込んでいた。

「差し入れ持ってきたよ〜♪」

美樹ちゃんがそう言うとみんな、パッと顔を上げて、

「ありがと〜」
「喉カラカラ〜」
「助かる〜」

一斉に声を出す。

美樹ちゃんが一人一人に配って行く。

「うちのポチがお世話になっちゃってごめんね〜、あたしとかなちゃんのオゴリだから♪」

「美樹っ!ポチって言うな!」

拓也君がそう言って立ち上がる。

「あら?さっき佐野君の犬って言ってたじゃない?」

「あれは言葉のあやだ!」

「佐野君と一線越したんでしょ?この浮気者!」

「違うっ!越してない!」

「…拓ちゃん酷い…俺の事、弄んだんだ…」

佐野君が大袈裟に肩を落とした。

「佐野!お前まで!さっきのあれは冗談だ!」

「俺との事は…冗談だったんだね…酷い…拓ちゃん…」

「佐野!」

慌てる拓也君。
笑い出すみんな。
私も可笑しくて笑ってしまった。

佐野君と目が合って、ドリンクを飲みながら私の方に歩いてきた。

「佐野君、お疲れ様」

「差し入れ、ありがと。蓋、開けようか?」

私が手に持ったままのペットボトルを指差す佐野君。

「うん。ありがとう」

蓋を開けてもらい一口飲む。
見ると佐野君はすでに全部飲み干してしまっていた。

500mlじゃ足らなかったのかな?

「佐野君、これ飲む?」

私は自分のペットボトルを佐野君に差し出した。

「へ?いいの?」

「うん。残り全部あげる、飲みかけだけど、足りなかった?もっと買ってくればよかったかな?」

「いや、もう練習終わるからいいよ、ありがと、もらう」

ゴクゴクと喉を鳴らして、私の分も一気に飲み干す佐野君。

首筋に汗が流れていて、それが体育館の窓から射し込む日射しにキラキラと輝き、とても綺麗で、私はそんな佐野君の姿に、心の中でシャッターを押す。