………眠い…

ここ数日あまり寝てないから、授業中激しく睡魔に襲われていた。

意識が飛びそうになり、時々ガクッと力が抜ける。

……ダメだ。

ノート録らないと……

……奏と……約…束……


………………………
……………………










……あれ?
ここ、何処だ?


…ん?試合用のユニフォーム?


沸き上がる喚声。
リョータ達の必死の応援。


…ああ。


今、全国大会の決勝戦だった。


後半残り7分チョイ。
10点リードされてる。
7分あれば充分ひっくり返せる。

また去年と同じ舞台に立てた。
今年こそは必ず優勝する。


去年は俺の怪我のせいでみんなに迷惑をかけてしまった。
あんなに必死になって練習してきて、決勝戦までボロボロの身体を引きずって、最後の最後、リング下の激しい攻防に、ファールを恐れ着地に失敗してしまった俺は、靭帯を断絶してしまった。


でも今年は違う、去年と比べて身体もデカくなった。
リハビリの間も別に、筋力トレーニングも毎日欠かなかった。
かなりの筋力も付いた。


俺達は必ずやれる!


「よし!行くぞ!絶対優勝しようぜ!」

「ああ!」
「ここまで来て負けれるかよ!」
「茜!頼んだぜ」
「ゴール下は任せろ」


ホイッスルの音と共に再びゲームが動き出す。


高田先生の叫び声。
学校のみんなの喚声。
バスケ部全員の応援。


ドリブルしながら走り出す。
ガードは3枚、相手も油断はしてない、集中しまくってる。
右に左に後ろ、ピタリと俺に張り付く、上からパスするフリをして、素早く下からすり抜ける、俺だって集中してる、誰にも負けない。


リングに向かい全速力。


助走をつけて高くジャンプ。


ボールをリングに叩き込む。


溢れんばかりの喚声。


ボールは相手チームに奪われ、スリーを放つが運良くボールはリングにあたり得点ならず。


リング下でがむしゃらにボールに向かってジャンプし、空でバシッとボールを掴み、そのままパスする。


「行けっ!速攻っ!」


着地した瞬間バランスを崩し、倒れかけた俺の上から相手チームが降ってきた。


そいつは身体ごと俺の膝の上に落ちる……