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「佐野、今日のバスケの練習なんだけど、区立体育館の空きがあったから、1時から予約入れといた。学校の体育館じゃろくに練習出来ないからな」

教室に入るなり、宮地が俺にそう言ってきた。

「区立体育館?」

「うん。こっから歩きで20分位のとこ、知らないのか?」

ああ。そう言えば体育館らしき建物があったな。あそこ区立の体育館だったんだ。

「俺、地元じゃないから、この辺あまり詳しくないんだ」

「え?佐野、もしかして遠方組?」

なんだよその遠方組って。

「実家は隣の県だよ、高校入学してからこっちで一人暮らし」

「一人暮らし?」

「そうだけど」

「いいな〜。一人暮らし」

「別によくないよ、飯とか洗濯とか色々面倒だよ…」

「…でも…憧れる、あ〜。俺も早く大学生になって一人暮らししてぇ。そんで毎日合コン三昧♪」

「…その前に受験だろ?合コンの何が面白い?」

「え〜?超楽しいじゃん♪女の子が沢山で♪あ。佐野、一度俺と合コン付き合わない?佐野が来るっつったら、女の子沢山集まりそう♪」

俺は餌か?
大学生にならなくても、コイツは合コン三昧なんじゃないのか?

「やだよ、合コンなんて、行った事もないし、そんな暇もない」

「えっ?行った事ない?嘘?」

「嘘ついてどうする?」

「今どき、珍しい、佐野って遊び人だろ?」

「……何だよ、遊び人て…」

「いや、しょっちゅう違う女の子と一緒だったし…」

「……昔の事だ」

今は奏一筋。

「はは。なんだそれ?」

「とにかく。もう俺は真面目に生まれ変わったんだ、ついでに球技大会優勝するぞ。宮地」

「はあ?優勝って、佐野、無理だって言ってなかったっけ?」

「いや、絶対優勝する。放課後猛特訓だ」

奏と約束したしな、何とかコイツ等を少しでも使えるようにしとかないと。

「おお。いつもやる気無さそうな佐野がやる気を出してる。よし!頑張って優勝しようぜ!俺、ニミバス経験者だから、少しはやれるぜ」

「期待してるよ、宮地君」

「キモッ!宮地君とか言うなよ。貴司でいいよ、俺も茜って呼ぶから、仲良くしようぜ。茜」

と、言う訳で、拓ちゃんに続く、俺の貴重な男友達、貴司。