◇◇◇



…ピピピ…ピピピ…ピピピ…


……何?

………何の音?

朦朧とする意識の中、次第に頭の中が覚醒してくる。

……ああ…朝か…起きなくちゃ…

ゆっくりと目を開けると、見知らぬ天井。

…あれ?…ここ…何処?

肘をついて身体を起こそうとしたら、ズキンとこめかみに軽く痛みが走る。

「……痛っ…」

右手でこめかみを押さえつつ起き上がり、辺りを見渡すと、綺麗に片付けられたワンルーム。

……何故か見覚えがある。

頭痛のせいか少し耳障りでうるさく感じる、鳴りっぱなしの、デジタルの目覚まし時計を、とりあえず止める。

ここは何処なんだろう?

昨日美樹ちゃんと一緒に佐野君のバイト先に行ったよね?
それからアスカさんって言う凄く綺麗なお姉さんと楽しく話してて…

それから……

ダメだ。思い出せない……

カチャ、とドアを開ける音がして、そちらの方に目を向けると、

「あ。おはよ、奏」

首からタオルをかけた、上半身裸の佐野君。

「…おっ…おはっ、おはようっ」

…えぇ〜っ!…佐野君?
何で佐野君?…え?ここは?佐野君のアパート?
私、佐野君んちに泊まっちゃったの?
あれ?美樹ちゃんは?
何で私佐野君ちに居るの?

てか佐野君。裸っ!
何か着て〜〜っ!

頭の中がグルグルと混乱してしまって、勢いよくベッドから立ち上がる。

「…おっ、お邪魔しましたっ、帰りますっ」

うつ向き佐野君の顔を見ないように、玄関へと向かう。

「えっ?奏?ちょっと!」

佐野君に腕を捕まれ、足が止まってしまった。

「帰ってどうするの?家の鍵は?制服は?」

……そう言えば、

「…私のバッグは?」

「知らない、美樹ちゃんが持ってるかも?」

「……何で私、ここに居るの?美樹ちゃんは?」

「……覚えてないの?」

「……うん」

「……そっか、覚えてないか…ははは…」

と、力なく笑う佐野君。

「…あの…私、昨日の夜…どうしてたの?…佐野君、知ってる?」

「酔っぱらって、寝ちゃったんだよ、美樹ちゃんは途中で居なくなるし…だから、うちに連れてきた」

……酔っぱらって?