奏の柔らかい身体がピッタリと俺に張り付き、身動きが取れず、硬直してしまっていた。

「……う…」

奏のあたたかい寝息が首筋にかかり、腰の辺りがゾクリとしてしまって、思わず声が漏れてしまう。

…かなりヤバいこの状況。

少しでも身体の離そうと、腰を引いてみたけど、奏の足がそれを許さず、更にグイッと引き寄せられ、密着度が増す。

……い…生き地獄…

おまけに回した腕に力が入り、スリスリと首筋に頬擦りしてきた奏。

徐々に下半身に血液が溜まり、熱をもってドクドクと脈打つ。

ベッドの上で奏の体温と温かい寝息を感じながら、俺の理性は崩壊寸前。

「……さの…くん…すき…」

奏が呟く。

瞬間。

俺の前に立ちはだかっていた理性と言う名の壁が、ガラガラと音を経て、足元に崩れ落ちた。

崩れた理性の瓦礫を乗り越え、向こう側に足を踏み入れた。

奏の背中に手を回しギュッと抱きしめる。

俺の腰の上にある奏の白い足をゆっくりと下からなぞり、ワンピースの中に手を忍び込ませる。

そのまま脇腹に手を滑らせて、背中へと手を回す。

ブラのホックを外そうと、その金具を摘まんだ時、

「……う〜ん…」

もう片方の奏の膝が、俺の股間に……!

「!!!!!!っ」

声にならない呻き声が出る。

奏は俺の首から腕を離し、コロンと寝返りをうち、俺に背中を向けてしまった。

俺は痛みのあまりベッドから転げ落ち、そのまま股間を押さえて、揉んどり打つ。


いいぃっってぇ−−っっ!!!
超痛ぇ−−−っ!!!


ベッドの下で一人地団駄を踏む俺。

暫くバタバタと暴れた後、やっと起き上がり、ベッドに肘をつき、奏を見ると背中を向けたままスヤスヤと眠っていた。

……奏…凄い…キック力だ…

ガクッと肩を落とし、ベッドにもたれ掛かる。

キックの破壊力のお陰で、俺の頭の中は冷静を取り戻した。

「……はは」

思わず乾いた笑いが漏れる。

…何やってんだ?俺…

奏が欲しいのは勿論だけど、こんな形で欲しいんじゃない。

酔った奏にそんな事したって何にもならない。

俺は心を含めて、奏の全部が欲しいんだ。