――――5年前



「………夜!早くしろよ~…遅刻するだろー?」



「…………ねむい。」



俺は今日も、ベッドの布団にくるまって団子になってる幼なじみを学校に連れて行くためにそいつの布団を引き剥がしにかかる。



めんどくさがりの夜は朝が弱い。



毎日毎日おんなじやり取りをしておれがこいつを引きずって学校に連れて行く。



友達思い…なんて言われるけど、



確かに夜は大事な親友だけど……



………ほんとはもうひとつ、目的がある。










「嵐ちゃん!今日もありがとう。……夜、まだ起きない?」



綺麗な声に振り返れば今日も柔らかな笑顔の綺麗な綺麗な人が…困ったように笑っていた。



「………おはよう。白羽(シロハ)ちゃん……。」



ドキドキするのを必死で抑えながら、いつものように挨拶を返した。



この人は夜のお姉さん。
藤間白羽(トウマシロハ)ちゃん。
4歳上の高校生。



俺の………ここに来るもうひとつの目的。