「なんなの、あのひとっ」
なんだかとてもバカにされた気分。
ううん、バカにされたんだアタシ。
「くやしーーっ‼」
お姉さんの消えたドアに向かってそう叫んだ時。
「次の人、どうぞ」
診察室から声がかかる。
アタシは遠慮がちにドアを開けて中に入った。
処置室の奥の方を見てもみっちゃん先生はいないみたいだ。
「そこ、座ったら?」
患者用の丸椅子を指差すのは、さっきの男の人。
白衣を羽織ってはいるけど、タンクトップにデニム…首にはシルバーのネックレス。
まるでお医者さんには見えないんですけど。
この人が誰かっていうことも、もちろん気にはなるけど、
「あの、みっちゃん…二葉先生は?」
アタシが知りたいのはそのこと。
みっちゃん先生はどこにいるのかってことだ。


