それからアタシが向かう先は、もちろんフタバ診療所。
キイッと古びた両開きのドアを開け中に入ると、微かに消毒薬の匂いがする。
みんなは嫌いな匂いだというけどアタシはなぜか落ち着く。
とても懐かしい、優しい匂いに感じる。
小さい頃アタシは、体がとても弱くて、しょっちゅう熱を出していたそうだ。
早朝でも、夜中でも、どんな時でもみっちゃん先生は優しく笑顔で対応してくれていた。
ママはいう。
みっちゃん先生がいたからこそ、亜夢はこんなに大きくなれたんだよって。
だから恩返ししたくて、アタシはこの診療所のお手伝いをすることに決めたの。
今はまだ、診療所のお掃除とか待合室のお年寄りの話し相手くらいしか出来ないけれど。
将来はみっちゃん先生の診療所で看護師として働くのがアタシの夢なんだ。