「見ないでよ」 「ああ、見ないから。胸の音聞かせろ」 仁科先生の手が、アタシのパジャマの裾からすべり込んでくる。 ひたっと聴診器がアタシの肌に触れた途端、大きな音を立てて心臓が飛び跳ねた。 ドクン、トクトクトクトク まるで全力疾走した後みたいに鼓動が早い。 どうしてだろう。 もしかしたら熱で、心臓が壊れちゃったのかもしれない。 「はい、終わり。特に心配しなくてもよさそうだ」 「……よかった」 心配ないといわれて、アタシはホッと胸をなで下ろす。