「やめてよ、変態。警察呼ぶからっ」
「何言ってんだよ、誰が変態だって?俺は医者だっつーの。診察させろよ」
仁科先生は、聴診器を耳から外すと真面目な顔でこういった。
「一応、心配してるんだぞ。高熱出して唸ってたのはどこの誰だよ」
「……アタシです」
「あんな時間に亜夢が死んじゃうって診療所のドアを叩くから何事かと思った」
仁科先生の話によると、夜中にアタシを心配したママがフタバ診療所に駆け込んだらしい。
確かに、今までの記憶がないんだから相当具合が悪かったんだろう。
「二、三時間おきに様子を見に来てたんだけど、解熱剤の注射が効いたらしい」
ということは、仁科先生は夜中からずっとアタシを診ててくれたんだ。
「意地はって、ママさん泣かすなよ」
「…ごめんなさい」
「わかったら、ほら」
アタシはパジャマの裾を少しだけ持ち上げた。