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連休明け。
5月。
初夏。



テスト期間で短縮授業だったその日の午後は、部活がオフだった。



ベストポジションから5日ぶりに見るあたしたちの街の姿は、何ら変わることなくその営みを続けている。



あたしに何が起きても、
あたしが死んでも、



この街は変わらない。



ぼうっと街を眺めるあたしの背後で、小さなくしゃみが聞こえた。



振り返ったあたしを見つめていたのは、あたしの高校のブレザーを着た男の子。



ネクタイの色で、1年生だと分かる。






ただ、男の子にしては長めの黒髪。






「あの」



固まるあたしに、その少年はおっかなびっくり言葉を繋げた。




「今日、寒くないですか?」






“結局、俺だけプレゼントもらった形になっちゃったなぁ”






まさか。
プレゼント?






そんなつまらないことを考えながら、あたしは笑顔を作って答えた。



「面白いコト言うね、キミ」







fin.