あたしは考えがまとまらないまま、バッグから緑とピンクのリボンが巻かれた小箱を取り出し、“ミサト”に差し出した。



「え?なに、コレ」



きょとんとした表情でその包みを見つめる“ミサト”に、あたしは言葉を選びながら簡潔に述べる。



「あたし、その、三浦悠真くんと知り合いで」



瞬間、“ミサト”の表情がきゅっとこわばるのが分かった。



「色々あって、預かってたんだ。だから─」






“ミサト”は、あたしからその包みを受け取ると、リボンを丁寧に解いた。



その手が小刻みに震えているのが見てとれる。



小箱に収まっていたのは、銀色に光るハートをかたどったネックレス。



それを見つめる“ミサト”の表情は、あたしには表現しきれない。“ミサト”より先に、あたしの目から涙が一粒こぼれた。



“ミサト”は、ネックレスを震える手で小箱から取り出した。



と、ネックレスに引っ掛かっていたのか、何か小さなカードのようなものがひらりと地面に落ちた。






カードを拾った“ミサト”は、ストンと地面に膝を付き、人目をはばからず、その場に泣き崩れた。



「ユウちゃんっ…!」



その言葉だけ最初に聞こえて、“ミサト”はあたしの目の前で、声をあげて泣き続けた。









あまり勉強に精を出してこなかったせいか、あたしは視力だけは人並み以上だった。





ミサトへ



誕生日おめでとう。



これからも、ずっとよろしく。



悠真




三浦悠真の最後のメッセージは、“ミサト”だけでなくあたしの心にも強く焼き付いた。