おととい、初めてあたしに話しかけられた三浦悠真は、いったいどんな気持ちだったんだろう?



あたしは彼のために買ってきたプレゼントをカバンから取り出して、太陽にかざした。



紙の包みが透けて見えるその中身は、白いマフラー。



季節は暖かくなっていく一方だけど、三浦悠真の長めの黒髪と、泉高の紺のブレザーによく似合うと思った。





あたしは、彼の中でどんな存在になったのだろう?



穏やかに進んでゆく時間と
緩やかに回ってゆくこの街の営みを感じながら、そんな風に思う。



彼は、あたしを必要としてくれただろうか。



「ふ…あははっ」



ふと笑いが込み上げてきて、思わず声が出る。



無理もなかった。



あろうことかあたしは、



幽霊に恋をしていたのだから。