「明日も来る?ココ」



三浦悠真がうなずいたのを見て、あたしは荷物と彼がくれたプレゼントを持って、手すりから離れた。



「朝10時きっかり、ココに来るから」



プレゼントを買うなら、隣町の大きなショッピングモールが一番近い。



まだ昼前だけど、選んでいる時間を考えたら今すぐ行った方がいいだろう。



「楽しみにしてて。それじゃ、お邪魔しました」



あたしはきびすを返して、階下に続く金属のドアへ向かう。



「ねぇっ」



強く呼び止められたあたしは、ひんやり冷たいドアノブから手を離して、三浦悠真を振り返った。



「…なに?」

「…その、」



詰まった言葉を必死で思い出そうとしているような表情だった。



綺麗だった。






「…また明日」



言葉を詰まらせたままの三浦悠真を、あたしは数十秒待ったけれど、どうやらどうしても言えない言葉だったらしい。あたしはそれだけ言って、冷たいドアノブをひねった。



「…うん、また、明日」



あたしの後頭部にためらいがちな彼の声が届いたのを最後に、あたしたちの間を硬い金属のドアが隔てた。