「あれ?ね、あの窓際の1番後ろって席あったっけ?」
「え?あ、ほんとだ。席が1つ増えてる。
…でもなんで??」
クラスの女子2人の話し声が聞こえて、伏せていた頭を起し左を向く。
……ほんとだ。
39人クラスのうちの教室には昨日までは窓際の1番後ろが1ヶ所空いていた。
なのに、今は他の生徒と同じ、机と椅子が置いてある。
…誰の机なんだろう。
朝のSHRが始まる時間が近づいて、静かだった教室も騒がしくなった。
おはよう、と挨拶を交わしながら教室に入ってくるクラスメート。
私に声をかける人なんて1人もいない。
昔から、そう。
コソコソと私の噂話をする人がいなくなれば、誰も私に注意を向けない。見向きもしない。
「おーい、席着けー」
開始時間より少し早く来た担任がSHRを始める。
「今日はこのクラスに転校生が来る」
先生の開口一番の言葉にクラスがざわめき出す。
それも当然だと思う。
ただでさえ、転校生という存在は始め騒がれるもの。
それに加え、この中途半端な時期。
