―――――・・・


「……っ!!」


はっとして薄暗い辺りを見渡せば、見慣れた自分の部屋。
ベットの上に座り、体にかかっている布団を見て、状況を理解する。


「…ゆ…め…?」


誰にとなく問いかけを一言漏らすと枕元に置いてある小さな置き時計に目を向けた。

4時を10分程過ぎた時間は起床するにはまだ早過ぎる。
飛び起きた体を再び横たえて、天井をぼーっと眺めた。


「……ふぅ」


眠ろうとするも、さっきの情景…夢が頭から離れない。


どうして、今更。


そう考えるほど目が冴えていくいくのを感じ、気付いたときには目が覚めてから2時間も経っていた。

まだ少し早いんだけど、なんて思いながらベットから起き上がり、朝の支度を開始した。


クセのないストレートの髪は朝時間がかからないからすごく便利。
ブラシを通すだけで済ませ、キッチンへと足を運ぶと、お弁当と同時進行で朝食の用意をする。

高校に入学してすぐの頃は同時にできなくて何回か遅刻しそうになったけど、数ヶ月もすれば手慣れたもの。
1人だけのこの生活にも、もう慣れた。

冷凍食品と作ったおかずをお弁当に詰めて、出来上がった朝食を無理矢理飲み込んで身支度をととのえ、家を出る。


「いってきまーす」


返事なんてあるわけないけど。

誰もいない家に鍵をかけて学校へ足を向けた。


いつもより20分早いだけで朝の景色は随分変わってくる。

散歩中のおじいさんとはすれ違わないし、騒がしい小学生の集団も自転車を飛ばす会社員もいない。