「そう…
…って、え!?」
いけない、いけない。
あまりにもさらって言うから、頷くところだった。
「聞こえなかったか?私が人間か「聞こえてる!」
私が声を上げたのはそういう理由じゃなくて。
「斗夜くんが私の家に来るの?」
「行く、のではない。暮らす、のだ。」
言った後、にこり、とあのお得意の微笑を向けられて、血の気が失せる思いがした。
「ねぇ、本当にうちの来るの?」
マンションまでの帰り道、涼しげな顔で歩く斗夜くんを見上げて再確認する。
「ああ、」
マンションまでの道を知っているかのように、遅れることなく私の隣に並んでいる。
「でもどうして?」
「片時も離れずに一緒にいなければ小夜を守ることはできないだろう?」
「……っ」
――片時も離れず、一緒に。
そんな台詞を真顔でさらりと言ってのける斗夜くんはやっぱり普通の人間とは違うのだと改めて思わされる。
…おかげでこちらは赤面万歳なわけだけども。
でも。
浮かんでくるのは1つの疑問。
「私を守るってどういうこと?」
…“何”から守るの?
「あー…」
斗夜くんは少しの間逡巡してから、私に向き直る。
「長くなるから住まいに戻ってから話そう。」
それ以上は話さない、とでも言うように、斗夜くんは私より半歩前に出た。
自宅までの道のりなのに、斗夜くんについていく形になっていて、なんだか普段の道とは違うような気がする。
