「こういうところで大っぴらにするのはあまりよくないのだが…」
ぶつぶつ言いながら考えていたようだが、しばらくするとこちらに向き直った。
「あまりこういうやり方はよくないが時間がない今これ以上いい案が思いつかない。」
そう言うと腕まくりをし、一掴み雑草を引き抜くと、手のひらに乗せた。
「見ていてくれ」
斗夜くんの言葉に従い、雑草をじっと見る。
すると、突然、手のひらが炎に包まれた。
「え!?ちょ、火、やけど!」
「大丈夫」
ほんの2、3秒、炎はあっという間に消えてそこには斗夜くんのきれいな手。
「やけど……してない」
「草を燃やすだけだからな。」
「今のって手品とか…な訳ないよね。」
「てじなとはなんだ?」
目の前の現実が上手く処理できなくて呟いてみると、斗夜くん心底不思議そうな顔を向けてきた。
「ううん、なんでもない。」
それより、と話を戻す。
「今見せてくれたのが魔族っていう証明なの?」
「あぁ、今のは少しの魔力を使って物を“焼却”したんだ。」
“焼却”と言ってもほぼ“抹消”の意味だが、と小さく付け加えた。
