「あ、いいこと思いついた。おいで。」


ケータイをパタンと閉じると、あたしの手をひいて立った。


「え、ちょ、待……っ!」

「待たない、早く。」


ずんずん進む聖に、こけそうになるあたし。

聖は、ある一つの部屋に入って行った。
龍瀬くんの前の部屋。

バタンと音がなって、扉が閉められる。
妙に緊張してるあたしは、その音にビクッとした。


「え?何?緊張でもしてるわけ?」


だ、だってさ…
男の人の部屋とか初めて入ったわけだし。
緊張するよ、ちょっとは!


「大丈夫、なんもしねぇし。」

「う、うん…。」

「してほしい、って言うんなら話は別だけど。」

「い、言わないもんっ!」


必死になってそういうあたしに、フッと笑って


「可愛いな…」


そう言って微笑んだ。

自分でもわかるくらい、顔が暑い。
それは、聖が言ったことでなのか、あの微笑みでか、わからない。

もしかしたら…二つともかも。
それくらい、カッコイイ微笑みだった。