おばさんばかりだし、忍ちゃんにはつまらない場所かもしれませんが、これからバザーの準備やチラシ配りを始めようと考えているので、お手伝いしてくれたら嬉しいです。
 それでは、また会いに来て下さい。
     佐藤 圭”


 その手紙が届いた時はショックだった。
 温子には「不登校経験者として何か役に立てば…」と、手紙の一部を皆に口で伝えるのは許可した覚えはあるが、手紙を丸々見せろと指示した覚えはない。
 不登校児の内面を間違った解釈で他の親達に力説する佐藤に、私がどんなにイライラを感じても、それは彼女が親の視点から語っているのであって、子供目線じゃないから間違いでも仕方ないし、私だって自分の事は参考として語れても、それが全ての不登校児に共通してるとは言えない。フリースクールの経営にしても、本来、私が口出しする事ではないのだ。「言われたから、はい、そうします」では意味がない。言われなくても気付いてほしかった。
 あんな不満だらけの手紙、本人が見たらただの悪口だ。それを皆で回し読みされた以上、もう、あそこへは行けない。行きたくもない。

 その後、あの子供がいないフリースクールがどうなったか知る由もないが、願わくば、いつかこの自伝が本になった時、何かのヒントとして今度こそ役目を果たしたい!!