話をしてみれば、お互い同じクラスになる以前から相手の存在が気になっていたようで、見ためや性格はもちろんの事、いろいろ共通する点も多く、ただ一緒にいるだけで楽しかった。登場通ってた珠算塾もまた同じで、そこで里奈の幼なじみ・愛と知り合うのだが、愛にはこの時、軽い嫌がらせを受ける。のちに愛に対する印象は同じ母子家庭と知って変わるが、彼女とは特に関わる機会がないまま、数年後、思わぬ所で再会を果たす━━━。

 さて、この頃クラスには雪子という体の小さな悪魔がいて、私は自分より遙かに小さい彼女に日々脅えて過ごす。彼女はどこかSMの女王様的な所があって、洋裁用のゴムを足にビシビシ当てて楽しんでいたかと思えば、無理矢理おんぶをせがみ、買ったばかりの筆箱に油性ペンでデカデカと名前を書かれた時は、姓がコンプレックスである以上に持ち物全てに名前を書く事に恥じらいを感じ始めた私にとって、一大ショックな出来事だった。
 いつか、イジメを目撃した友達の密告で助けられた事があるが、その点、子供はどういう態度をとれば大人が許してくれるかを心得ている。雪子はうつむいて反省した振りをしただけで、全く反省していなかった。

 そして4年後、私は彼女に本当の地獄を見せられる━━━。