自殺願望はピークに達し、いつもみたく身辺整理を考える余裕もない。
 「私は誰にも愛されていない。生まれてこなければ良かったのに…」
 おまじないのように何度も呟いては口癖になった好きな人の名も、うっかり口にすれば「バカみたい」と、自分で自分を責めるほど重症だった。
 その状態から立ち直れたのは、「自分はあの日、1度死んだんだ。愛されたいと願うから、愛されずにツライ。ならば、愛されなくてもいいと開き直れば生きていける」と、自ら愛を拒んだからで、あの頃の私には悲し過ぎる決断と言える。
 そして、この事が逆に『愛されたい願望』を増大させ、暴走する結果を招くとは、私はまだ気付いてもいなかった。