淡い期待を抱き、人生の再スタートをきるつもりで入学したこの学校も、所詮、今までの人生の続きでしかなかった。たまに声をかけるだけ、心配するだけの人なら周りにいる。けれど、『いつも一緒で、私を絶対に1人にしないと保障してくれる人』は誰もいない。
 「心配してる」と人づてにしか言えない愛、気紛れに話しかけてくるだけの谷川、けして完全な保障ではない未絵…級友の多くは無駄に眺めるだけで、体当たりする事はない。そればかりか、皆揃いも揃ってスパイになり、私の行動を勝手に解釈して担任に報告している。呼出もそれが原因だった。
 ただトイレで髪をいじったり化粧をしたり、鼻紙欲しさに個室に長時間いるだけの行為も、異常者という視点で見れば、その先入観は確信へと変わる。教師も先の福岡での事があり、生徒の言葉を真に受けたのだろう。
 母を通し、新しく校内に出来たというカウンセリング室の利用を勧められた。

 そして、この事件から2ヵ月後、私は自らの意思で中退を決意する。