やがて、私達の間に野々原が加わった事で、私はさらに孤立していく事になる。それまで、いざという時の居場所だった4人組は、彼女が加わった事で5人となり、2・2・1と私があまる結果になった。
 それは正に、高校時代の里奈・圭子・私の関係そのもので、最初から1人以上の友達を作るなど無理だったのかもしれない。友達が大勢いた頃の記憶も今じゃ薄らいで、複数を相手にした時の話し方とか目の向け方とか、そのへんの感覚が一切わからなくなっていた。


 毎朝、5時に起きてムダ毛処理を含め1時間以上シャワーを浴び、家族がまだ誰も起きてこない中、簡単な朝食をすませ、7時には家を出る。不眠症による平均睡眠時間は2時間半。快速に乗っても片道2時間の電車通学は終始立ちっぱなしで、奥に押し込まれたら降りられないとドア付近をキープするが、こんな私でもたびたび痴漢の被害にあう。
 街を歩けば、すれ違う人すれ違う人「あの子、変な子ぉ…ダッサーイ」という目でジロジロ見てきて、それが現実なのか被害妄想なのかもわからぬまま学校につけば、後ろで野々原が毎日毎日「ムカツク」と、私にはそれが自分に対して言っているように思えてならない。
 昼食代は月1万円もらい、入学当初は近くのコンビニで買ったオニギリを公園で1人食べていたが、そこに他の生徒が来るようになってからは、人目も気にせず食べられるのはトイレの個室ぐらいで、食べずに昼寝するようになってからは、「あまった」と親に返す金も増え、「食べないから必要ない」と、半年後にはこづかい5千円のみの支給となった。
 体調が悪く早退すれば、電車の本数少なく、千葉で1時間待ちは当たり前。5時間目の授業を終えて急いで帰っても、家につくのは8時半で、「疲れた」と独り言を言うだけで、母には「自分が東京の学校選んだのが悪いんでしょ!!」と、帰って早々怒鳴られる。

 毎日、いつ「グループを作れ」と指示されるか脅え、周りが次々と班を作っていく中で、友達のいない私はいつまでも孤立。勇気を出して人の輪に入って行こうにも、自分から話しかけるという行為は、少なからず「相手が受け入れてくれるかも」という期待が含まれてるわけで、すなわち、その期待こそが“調子にのってる”と、ここは受け身で待つしかない。