考えてみると、同じイジメでも中学のみ不登校になった最大の理由は“友達がいなかったから”で、小学校の頃はクラスに友達が1人でもいれば大きな支えになった。
 イジメから救ってくれたという意味ではない。
 友達がいる事でグループ作りで孤立する心配をしなくて良かったし、何より自分の存在に自信が持てた。逆に中学では常ににグループ作りの心配をしなければならなかったし、自分が給食当番の時は誰も私の分を用意してくれなくて、孤立が近寄り難いマイナス・イメージを生み、本来の自分を知ってもらう機会さえ得られなかった。周りの人が全て敵に思え、席替えや班で私と一緒になった人には申し訳なくて、嫌がられる前に自分から距離を置いたり、好意的な人さえ「私の事、嫌いに決まってる」と、心の中ではね返していたように思う。
 その大きな痛手は、自分ばかりでなく、周囲を思いやる心の余裕がなくなった事にあるだろう。

 進級からわずか2日目、強風で晒したパンツ姿の恥じらいと野次の中、翌日から1週間の記憶消滅休暇に入る。
 その後も、昼夜逆転、かつてのイジメっ子である隣席の男子生徒へと不安、それに対する峯山の理解のなさに、加代を思いやる余裕もなく、再び欠席を繰り返すようになる。