が、実際は長く続かず、大抵3日以内に連絡は途切れ、そのくせ忘れた頃に「元気? 今、何してる? 暇だから相手してよ」と、勝手な人ばかり。普段は放ったらかしのくせに、都合のいい時だけ友達づら…高校生の頃を思い出した。
 そうだ、今の私に必要なのはメル友じゃない。もっと直に肌で感じる強い結びつき、暇潰しやその場限りの愛情ではない、ちゃんとした友達や恋人が欲しい!!
 出会い系サイトという場違いな所で、繁殖したハムスターの里親探しをする中で、私は同じ富津市内に住む4つ年下の和哉と知り合う。
 「富津のどこ? ハムスター飼う気ない?」
 彼は既に飼っているから里親にはなれないが、家が近い事もあり、協力を名乗り出てくれた。私はそんな彼に次第にひかれていく…
 1週間以上メールが続いたのは、彼が初めて。日中はレジでバイト、夜は定時制高校へと通いながら、合間をぬって日に何度もメールをくれた。過去や容姿を恥じずとも、「そんなの関係ないじゃん。友達になろう。俺が忍をいろんな所へ連れ出してやるよ」と、その言葉が嬉しかった。
 男友達が人生初なら、夜9時過ぎに友達が家に遊びに来るのも初めて。里親への仲介が目的とはいえ、和哉と彼の友達の3人で会う時は、いつだって緊張した。メールでは普通に話せるのに、3人で会うと私はいつも無口になって、それでも彼らに会う事で、徐々にネット上の人物と会う不安も薄れた。
 その頃、彼には他に好きな女性がいて、私もネットで募集した彼氏候補4人とのメールを続けていた。うち1人は市内同い年の男性で、結婚しても子供はいらないだとか、童貞と処女、お互い「初めてのHは、未経験か経験の浅い人がいい」と、似た者同士なのか、故意に話を合わせているのか、いや、リードしてくれそうな人を選ぶなら、残り3人のいずれか…と安易な気持ちはあった。
 それでも、いざ交際した時の事を考えると、近場の人の方が好ましいと和哉への期待は高まるが、ある晩、彼から「今日は麻美の家にお泊まりだ」と、さも嬉しげなメールが届く。その数時間後、今度は「アドレス変更」と、そこに見た新アドレスに、私はショックを受けずにはいられなかった。

 “asakazu.love-forever@ (麻美と和哉の愛は永遠に) ”